SDGsの取組
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標『SDGs (Sustainable Development Goals)』は、17のゴールと、それを達成するための169のターゲットで構成されています。発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル的なものであるとされており、特定非営利活動法人 芸術と遊び創造協会/東京おもちゃ美術館でも今後、 目標達成の貢献のために積極的に取り組んでいきます。
目標達成貢献の3つの取組
①全国各地の森林資源を活用して地方創生に結びつけること
②様々なステークホルダーが参画することで環境保全に結びつけていくこと
③子育て支援の一環として暮らしを豊かにしていくこと
東京おもちゃ美術館が全国で進めている「ウッドスタート」は、その地域で生まれた赤ちゃんに、地産地消の木製玩具を誕生祝い品としてプレゼントする事業であり、子どもを始めとする全ての人たちが、木の温もりを感じながら、楽しく豊かに暮らすことができるようにしていく取り組みです。
全国で自治体57+4県・企業28・幼保育園28団体が共鳴し、宣言しています。自治体の「ウッドスタート宣言」の条件は、そこで生まれた赤ちゃんに、誕生祝い品として、その地域の材を使って、その地域の職人がつくった木のおもちゃをプレゼントすることです。また、木や森のない都市部の自治体の場合には、森林のある姉妹都市の材でおもちゃを制作できるようにマッチングしています。
東京おもちゃ美術館が関わることで、クオリティの高い木製玩具が作れるだけでなく、安全性の担保、全国への普及、メッセージ性をもったおもちゃの開発が行われます。もちろんこの活動を通して、地域の森への関心を高めるだけでなく、林業、林産業の活性化、川上と川下のネットワークづくりなどにも貢献できています。
魅力ある地域資源や自然、そして森林を見つめ直し、地域活性化に繋がるきっかけ作りの役割を担っているのが木育キャラバン(移動型おもちゃ美術館)です。
毎年、全国各地40カ所以上、年間のべ15万人以上が来場し、参加者に木育の意義を楽しく伝えることができるとともに、暮らしに木を取り入れるきっかけにもなっています。木のおもちゃは子どもの五感に働きかけ、感性豊かな心の発達を促すことと、おとなにとっても癒し効果があります。
国産材を中心とした温もり溢れる良質な木のおもちゃ、約300点以上で遊ぶことができ、五感をフルに活用した木育体験が可能となります。また、地域の木育関係団体とは積極的に連携することで、その地域ならではの木や森の特徴を伝える場となっています。さらには設営準備から開催、撤収までを地域の方々と共に作り上げることで、多くの方々を巻き込んで開催するイベントでもあります。
おもちゃと遊びの文化を全国に広めるため、地域ならではの自然と文化の魅力あふれる「姉妹おもちゃ美術館」を、東京おもちゃ美術館監修のもと全国に設立しています。現在、沖縄県国頭村、山口県長門市、岩手県花巻市、徳島県など12館まで拡大し、数年以内に16館となる予定です。
すべての館においては、地域材を徹底的に活用しており、床や壁などの内装はもちろん、遊具やおもちゃにも地域材を使用しています。また観光施設としても機能しており、設立後には地域外からも多くの観光客が訪れています。さらには、これらのおもちゃ美術館の運営は地元NPO等が担っており、必ず住民を巻き込んでのボランティア組織をつくるので、住民のまちづくりへの参画という点でも効果的です。
こうした姉妹おもちゃ美術館設立事業を通して、様々な地域課題に取り組むことが可能となります。歴史ある廃校や建物を利用して美術館にし、廃線となった乗り物を変身させて美術館までの交通手段にしたところもあります。「廃校活用」「地方路線の赤字軽減」「住民のまちづくりへの参画」「関係人口の増加」などに役に立っています。
目標達成までの課題
地域の林業・林産業の活性化、地域材需要拡大のきっかけとなる「ウッドスタート」を、「宣言後」にさらにその意義を継続、発展させていくためには、木や森に興味がない人にも、地域の課題解決の一つとしての“木育”という活動について理解をしてもらい、環境意識向上へと結びつけていかなければなりません。資源を循環させ、森林環境の健全化とともに地域活性化へ繋がる事業へと発展させるために、「木のおもちゃ」・「木の空間」といったツールを存分に活用しながら、地域のニーズに合った木育推進事業を、自治体や住民と協働して行うことで実現していけるのではないでしょうか。
特に森のない都市住民にとっては、遠く離れた森と自分たちの暮らしとのつながりは見えにくいものです。しかしその関係性を知ることは、 SDGs 実現のためにも必要不可欠であり、「伐って、使って、植える」ことへの理解を深めることが重要であると考えます。今後は森林を抱える自治体と森のない地域が、単なる「資源供給地」と「木材消費地」としての関係性だけではなく、「木を使う」ことを通して「森を守る」という意識のもと、「対等な関係性」を築くために、「木を使うことの意味の普及啓発」が必要不可欠です。そのためにも今後は森林環境譲与税を、木育活動の財源として有効活用していきながら、さらなる SDGs につながる木育の推進をおこなっていく方針です。
グッド・トイ認定玩具 林野庁長官賞 受賞
現代のおもちゃ市場は、毎年1万点以上の新しい玩具が発売されるも、すぐに消えていくものも少なくありません。そのような市販のおもちゃの中から”GOOD TOY”(よいおもちゃ)選びの指針となるよう、1985年よりグッド・トイ選定事業を行っています。そして2010年より、毎年その年のグッド・トイ認定玩具の中から国産材を使用し、且つ、もっとも木材の良さが活かされている玩具1点に対して、林野庁長官賞が与えられています。