宮大工の技法から生まれた美しい”おもちゃ”

 木育キャラバンでは、国産材を使用した、多数の日本のおもちゃ作家・職人さんによるおもちゃがたくさんあります。


 その中で、今回は新たに仲間入りしたアトリエ倭さんのおもちゃ「きぐみ」について、制作された香田さんよりメッセージをいただきました!


※木組み:釘などを使わずに木を組み合わせる技のこと


 

「きぐみ」は、アトリエ倭として最初につくったオリジナルのおもちゃで、自分達の仕事の原点のように感じています。

このおもちゃの原型は、通っていたデザインの専門学校の卒業制作でした。

当時は削り出す技術がなかったので貼り合わせて形をつくり、貼り合わせた継ぎ目をパテで埋めてカラフルに着色していましたが、木を加工する楽しさを味わった最初の経験だと思っています。

そこからメーカーのおもちゃデザイナーと建具職人を経て独立し、今は治具(ジグ)と呼ばれる加工の型をたくさん用意して、無垢材から削り出して作っています。



独立した17年前、当時まだどこもお取引先もない状態の時におもちゃ美術館さんをご紹介くださった方がいらっしゃって、完成仕立ての「きぐみ」を多田館長に見てもらう機会をいただきました。

多分おもちゃ祭りだったと思うのですがトイコンさんもたくさんいらっしゃって、おもちゃに詳しい方達の目に自分達の仕事がどう写るか、とても緊張しながら箱から出したことを覚えています。


多田館長は「きぐみ」をとても面白いと言ってくださって、よい仕事だからぜひ新しく建てる美術館に置きたいと言ってくださいました。

そこからトイコンさんや美術館のスタッフさんとのつながりもたくさん広がって、入口の看板の製作やインスタレーションなども担当させていただき、現在のアトリエ倭があります。

そういう意味でも「きぐみ」は自分達の仕事の、原点のおもちゃだと感じています。


学生当時につくった「きぐみ」と今の違いは、削り出していることもですが木目を合わせていることもです。

木取りと呼ばれる製材の時点から番付けを振って加工し、サイコロの形に組むと木目がつながるようにしています。

とても手間の掛かる作業ですが、こうすることで組んだ時も自然に見えますし、木が乾燥で縮んだ時も同じ方向で収縮するので、長く遊んでもえらえるようになりました。


組んだ時の隙間が揃っていることや、面の大きさが通っていることもとても大切にしていて、小さな人にこそ、こうした細部にまで美しい仕事を渡したいと考えています。

「神は細部に宿る」と考えていて、大工さんから生まれた木をつなぐ技術を、掌に乗る美しい形で次の世代へ継いでいけたらと思っています。

今回、木育キャラバンという素敵な旅に「きぐみ」も参加させていただけることを、とても光栄に思っています。

たくさん遊んでもらえた分きっと飴色になって、もっと木目がくっきり見えてくるのではと思っています。

面取りした部分も、遊んでもらえた数だけきっと凹んだり傷がついて、その経年こそが一番の美しい事象だと感じています。


17年前、「きぐみ」がつないでくれたおもちゃ美術館さんとのご縁に、深く感謝しています。

そしていつかキャラバンから帰ってきた「きぐみ」と再会して、全国の旅の話しをその艶や傷から聞けることを、今から楽しみにしています。

 

9月から11月まで、毎月、木育キャラバンが開催する予定です。

決まり次第、木育ラボのスケジュールにアップしますので、お楽しみに!



※アトリエ倭 HP http://a-yamato.main.jp/

 

※「きぐみ」は、東京おもちゃ美術館の『おもちゃのもり』でも遊ぶことができます。